『りんね(Rinne)』 2003作品

完全なる初めての自主制作、自分のためだけの作品。
課題でもなく、仕事でもないモノではおそらく初めてとなるアニメーション。
誰にも見せずにコソコソと作り上げた。
誰にも見せずに課題もなく作ると言う事の一番の難しさは,モチベーションをいかに保つか。
愛着のあるテーマを見つけだし、愛すべき主人公を作り上げる。
何を作るかをある日思案した私は、輪廻=回帰=食物連鎖、それら全てが同じ事を意味しているのではないかと思い至った。
日本には古来からなんにでも神が宿ったり、大事に使ったモノには魂が宿ると言う思想がある。
昔、大切にしていた人形も生きているかも知れないとなかなか手放せなかった事を思い出す。しかし、それは自分が思い立った事を思えばあながち想像のモノではない。捨てられた人形は土に還り,新たに土壌を生み、何かを育てるかも知れない。それによって育ったモノは生まれ変わったとは考えられないだろうか。
私は テーマを決めた。
そして、もう一つ試みは墨を使いながら,古典的な絵柄はいっさい使わないと言う事。
墨絵をあくまでツールの一つとしての使用する事で、墨の良さのみだけでアニメーションを作る。現代の墨絵を描く事。
なんとか作り上げたモノは,女の子の大好きな人形との別れと、人形の転生。人形が転生したモノは地球。
人形の中から張り出た根は地球を覆う。女の子は生まれ変わったモノを愛する事で心を整理する。
この作品を作って、より客観と言うモノを学んだ。
伝える事、語る事が作品を作り上げる。
カタル作品を作る。
もう一度再確認できた作品である。

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