『心和』2002作品
デジスタベストセレクション/シーグラフアートギャラリー入選

卒業制作作品。
初め、現代の高層ビルなどの風景を昔の画家達が見たらどう描くだろう、描きたいと思うだろうか、と言う疑問から企画を立てる。
また、そう言った現代風景の高層ビル郡を見上げる人々はどう思うのか、いきなり大人社会に放り込まれた子供達はどう思っているのか、現代の人は便利にするばかりを考え、古き良きモノ、日本人の美徳を忘れているのではないか。
自分を就職活動を経て、その速度の速さにヘトヘトになっていたからこそ浮かんで来た様々な疑問。
もっと日々がゆっくりだった、昔を少しだけ思い出して懐かしみたい。
ほっとしたい。
一番、心の和みを求めていたのは自分だと気がついたのはもっと後の話であるが、初めの企画から波及した疑問で物語ができていった。
ただ、古い物が好きなだけだった自分が、就職活動を経て少しだけ人生経験が豊富になったからこそ作れた作品だと思う。
主人公はおじいさんの様な姿になってしまった小学生。
体は子供もなのに心ばかり成長しなくてはならなくなってしまった、
現代の子供達の表裏の姿。
彼がお茶碗に溜まった水を眺めて本来の想像力を膨らまして、雫が彼を現代に呼び戻して初めてネコの存在に気がつく。
雨が止んで、太陽が出て、ネコを抱き締めて、ゴミも鳥になった。
少しだけゆっくりできたし、少しだけほっとできた。少しだけ懐かしかった。
そんな、ひとりひとりの様々な和みを見つけてほしい。

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