『鳥獣戯画 Sakyamuni Frog』 2003作品

NHKhiスペシャル提出作品。
デジスタを通していただいた仕事。
この時、『蝉しぐれ』をすでに抱えていたが、高畑勲先生に見てもらえると言うので、ほぼ即決で、受ける事に決めた。
しかし、現実は予想以上に厳しかった。
『蝉しぐれ』がレンダリングに一週間かかり、PCが1台しか無い個人制作。
レンダリングの間はPCをいじれない。
ひたすら動画のみを描き続けるフラストレーション。
納品までのラスト2週間は平均睡眠2時間(仮眠)
そんな中で完成した作品。

すでに墨絵の最高傑作の一つ『鳥獣戯画』
ホヤはまず墨絵でアニメーションするか悩んだ。
しかし、課題によって自分の売りの一つを簡単にはかえられないと『鳥獣戯画』に無謀にも挑戦状。
『鳥獣戯画』を組み換える事によって、別の物語をつくり出そうと考えた。
蛙の仏陀が創造した世界。動物に知恵を与えたら争い出す。仏陀は悲しんで知恵を奪い、現在の動物の姿に。
そう言う物語を作った。
次は曲。
ある曲を聞いたとたん、蛙の仏陀が踊りだした。このアニメーションは曲有りき。あの曲じゃなきゃ仏陀は踊らなかった。
何はともあれ作品は完成した。

高畑勲先生に見てもらえた。
しかも『あの』スタジオジブリで。
高畑先生と宮崎先生のタイムカードを触った。あやかりたい。
ホヤはジブリで育った。
高畑先生は穏やかな方だったが、言う事はさすがに鋭かった。
争う事で仏陀に知恵を奪われる蛙達。争っているようには見えないとおっしゃった。心に走る衝撃。
確かにそこはホヤが一番悩んだところ。きつい表現はしたく無い。でもしないと第三者には伝わらない。その迷いがそのまま出ていたのかも知れない。でも、墨の絵を褒めて下さった。お世辞でも嬉しい。これからも墨絵を続けるようにと言って下さった。
分かりました。続けます。
中谷先生は、成長したと言って下さった。凄く嬉しい。
ホヤは褒め過ぎると調子に乗る。けなし過ぎると浮かんで来れない。
その日はその両方が調和して、制作意欲だけ残った。
高畑先生に駄目もとで名刺をせがんだら下さった。一生の家宝です。
すでに作品の説明じゃなくなって来たが、ホヤは幸せモノです。
みなさん。ありがとう!

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